前回は、生命保険の必要保障額の算定方法についてご紹介しました。基本は、(必要となるお金)-(入ってくるお金) でしたね。ここ(入ってくるお金)に遺族年金がありましたが、その年金額の計算方法(平成25年9月現在)について今回はご案内したいと思います。計算式が羅列されますが、「我家にぴったり保険」を準備する為には欠かせません。
モデル家族は、前回に引き続きさくら家とします。
父:ひろし45歳 母:すみれ42歳 姉:さきこ10歳 ももこ8歳
まず、ひろしは会社員(23歳に入社とします)でしたので、貰える遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の二つになります。(注:もし、ひろしが自営業なら遺族基礎年金のみになります。)妻のすみれは、40年間の加入期間を満たすものとします。
目次
遺族基礎年金の計算準備
「子どものいる妻」もしくは「子ども」が受給でき、子どもの数に応じて加算されます。
(注:子どもとは、18歳到達年度の末日まで(1,2級障害をもつ場合は20歳未満)にある子)
・基本額:786,500円
・加算額:子ども2人目まで・・・1人につき 226,300円
子ども3人目以降・・・1人につき 75,400円
遺族厚生年金の計算準備
平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以降の加入月数・・・(2)
((1)+(2))×1.031×0.978×3/4
さらに遺族基礎年金が受け取れない妻に対して、65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算として589,900円が加算されます。
ひろしの場合は、今年まで23年間加入していましたので、
40万円×5.769/1000×10年×12ヶ月=276,912・・・(2)
((1)+(2))×300月/276月×1.031×0.978×3/4=516,000円
ひろしは、加入月数の合計が300月未満ですが、300月として計算されます。
さくら家の遺族年金を計算してみよう
上記を先回のさくら家にあてはめましょう。
(786,500円+226,300円+226,300円)×9年=1,115万円
516,000円×9年=464万円
1,115万円+464万円=1,579万円
(786,500円+226,300円)×2年=203万円
516,000円×2年=103万円
203万円+103万円=306万円
(516,000円+589,900円)×12年=1,327万円
(516,000円+786,500円)×23年=2,995万円
以上が、遺族年金の計算方法です。いかがでしょうか。自営業の方は、上記の算式から遺族厚生年金・中高齢寡婦加算を除外する事になります。さらに、対象の子どもがいなくなると遺族基礎年金は支給されませんが、遺族厚生年金は子どもの有無に関係なく、一生涯受け取れます。
自営業と会社員とでは、公的年金にこれ程の差が内在しています。必要な保障額を算定する際にはこの遺族年金を無視する事は出来ません。保険営業の場で、「皆さん、これぐらいの保障に入っていますよ。」の言葉が、いかにいい加減なセールストークであるか、もうお解かり頂けたと思います。