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定年退職後のビジネスパーソンの傷病手当金受給にあたっての注意点とは?

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定年退職後のビジネスパーソンの傷病手当金受給にあたっての注意点とは?

人生100年時代となり、定年退職後も引き続き働くというビジネスパーソンは増加傾向にあります。

これは年金給付額の目減りや、平均余命の延びを勘案すると至極当然の判断であり、今後も増加傾向をたどると予想されます。

今回は60歳以上のビジネスパーソンが定年退職後に再雇用される場合等に選択することができる「同日得喪(どうじつとくそう)」の制度を活用した場合の、傷病手当金との関係性について解説します。

定年後の再雇用時にもし傷病手当金を受給することになったら?

そもそも同日得喪とは?

60歳以上のビジネスパーソンが定年退職後に再雇用される場合等に選択することができる「同日得喪」という制度は、

  • 社会保険の被保険者資格喪失届と

  • 被保険者資格取得届を

一緒に提出することで、再雇用された月から「再雇用後の給与に応じた標準報酬月額」を決定することができる制度です。

通常、再雇用後は定年前よりも給与が低くなることが多く、その間、社会保険料の負担が重たいと感じるのが通常です。

そこで、再雇用された月から「再雇用後の給与に応じた標準報酬月額」に決定されることで、より早期に「実態に合致した標準報酬月額」となるため、就労意欲の減退を防ぐことができます。

一例として、3月31日付で定年退職後、その翌日である4月1日付で再雇用された場合を確認しましょう。

この場合、3月までの雇用契約と4月以降の雇用契約については、契約上は当然別の契約内容となっています。

通常の「月額変更届」の場合、変更してから4か月目以降に社会保険料は変更となりますが、再雇用後の賃金と比べて当然、社会保険料の負担が重く、家計へ与える負担は決して小さくありません。

そこで、「同日得喪」という仕組みが導入されています。

再雇用後の社会保険の負担を「同日得喪」で軽減する

既に傷病手当金を受給している場合

まず、傷病手当金の額は、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の被保険者期間の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30 分の1に相当する額の3分の2です。

当然、病気や怪我で働けず、給与を受けられない期間の「所得保障」という観点から、給与や手当が支払われている場合は支給額から差し引かれることとなり、有給休暇等により全額給与が支払われている場合、傷病手当金の支給はありません

また、「支給を始める日」とは、実際に傷病手当金の支給を始める日を指していますので、いったん支給額が決まれば後で標準報酬月額が変動しても傷病手当金の額は変動しません

将来的に傷病手当金を受給する場合

傷病手当金の受給額は下がる方向に動きます。

この場合、同日得喪をし、再雇用された月から標準報酬月額が低下しますので、将来的に傷病手当金を受給することになった場合は、同日得喪を出さなかった場合と比べると、受給額は低下することになります。

傷病手当金と給与の相違点・法改正部分

有給休暇等の報酬とは異なり、非課税であることが相違点となります。

また、法改正により、旧来支給を始めた日から1年6か月の受給期間であった部分が「通算1年6か月」となりましたので、途中で復職し、また休職となった場合であっても、通算して「1年6か月分」の受給が可能となりました。

すなわち、法改正によって多くの場合はより長期間にわたって傷病手当金の受給が可能となりました。

途中で復職してまた休職するケースでも傷病手当金の受給が可能となった

傷病手当金が調整されるケースは他にもある

傷病手当金と同じ理由で障害厚生年金または障害手当金が受けられる場合は、傷病手当金が調整される仕組みとなっています。

また業務上の負傷により、労災保険から休業補償給付を受けているときにも、傷病手当金は調整される仕組みがあります。

判断に迷う場合はお金に直結する問題であるために、専門家や各行政機関に相談するなど、誤解のないようにしておきたい部分です。

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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